ライター 阿部真麩美
俳優の田村正和さんが、今年の春に亡くなられました。
数々のドラマで活躍され、そのジャンルは時代劇からコメディーまでと幅広く、出演リストを見ると楽しみにしていたものばかり。
若い頃から晩年まで、ずっと「スター」だったのだと改めて感じました。
多くの当り役をお持ちでしたが、やはり印象深いのは「古畑任三郎」です。
飄々としながらネチっとしたセリフ回しで、犯人を追い詰めていく様子を楽しみにしていた方も多いと思います。
ドラマとしては3シリーズ、スペシャルやスピンオフも制作されました。
脚本を書かれた三谷幸喜さんが猫好きなせいか、猫がミステリーを解く鍵になったこともありましたね。
特に、田中美佐子さんが犯人役を務めた「哀しき完全犯罪」は、わが家では大ウケでした。
ルーズな性格の女流囲碁棋士が几帳面で口うるさい夫を撲殺し、偽装工作をするものの、あまりにずさんなため犯行がバレるというもの。
妻が疑われるきっかけの一つに、猫のご飯がありました。
几帳面な夫は、縦4〜5段、横は7列にして味の異なる缶詰をカレンダーのように並べ、左から順番に与えることで飽きさせずにご飯を食べさせる工夫をしていました。
これ、うちと全く同じ。
ところが、ルーズな妻は曜日を無視して目についた缶詰を開けたため、その並びに不自然な凹凸ができてしまい、古畑任三郎はそれを見逃しませんでした。
しかも、空いた缶詰の洗い方は不十分で汚れが残ったまま。
とてもじゃないけど、几帳面な人間がした仕事とは思えないあり様で、「猫にご飯をあげる時間には、夫は生きていた」というのがウソだとバレバレ。
これ、私もよく夫に怒られていたのと同じ。
「二日続けてマグロを食べたら飽きるでしょ!」って。
確かにそうだけど。
でも、残さず食べてたし。
そんなこともあって、大好きなドラマの最も好きなエピソードとなりました。
田村さんの訃報を受けて、傑作選の再放送もありました。
古畑任三郎シリーズは1994年から1999年の放送で、今見ても古さを感じないせいか、もう20年以上経つことに驚きを感じます。
そういえば、このエピソードが放送されていた頃、ウィーンに赴任していた友人が一時帰国した際に開かれた宴席で、猫のご飯が話題になりましたっけ。
「どんなものを食べさせているの?」の問いに、「月曜はマグロで火曜日はチキン、水曜はカツオで木曜日はビーフって感じで毎日お魚とお肉を交互に、土日はちょっと豪華にヒラメやタイのゴールド缶をあげてるよ」と答えたら、「猫のくせになんでそんなに贅沢なの!オーストリアの子供なんて、毎日毎日ハムとチーズとパン、ハムとチーズとパンばっかりなのに!」と怒り出したんです。
周りの人は大爆笑で、「オーストリアの子供より日本の猫の方が贅沢なものを食べている」という新しい知識を得た瞬間でした。
もちろん、友人の20年前の個人的見解ですニャ。
それにしても、猫とミステリーってなんでこんなに相性が良いのでしょう。
願わくば、カリカリーナを使った謎解きを見て見たいものです。
削りカスが少ないことを使ったトリックやアリバイ工作、できそうな気がしませんか。
猫好きミステリー作家の皆さん、よろしくお願い致します。
家を建ててよかったなと心から思える最大の変化点。其の三。最強のデカ窓 https://t.co/HGjbZtufkq pic.twitter.com/ZZi10hQ2kQ
— 響介 (@HOMEALONe_ksk) August 13, 2021
#23 最近一番嬉しかったことは、「鳥獣戯画に猫がいた!」ってこと
#22 今年の夏は、ゆるキャンならぬ猫キャンで 家族の絆を深めるニャン!
#21 心地よい季節に誕生する猫ちゃんたちに、ようこその気持ちを伝えるニャン!
#20 カリカリーナが選ばれる理由は、「猫が喜ぶ」から。大勢の猫さんたちのお墨付きです!